抗酸化作用
という言葉でいつも思い出しますが、以前、仕事で知り合った先生が発表された論文で、水素の働きの凄さを知ったことがありました。
それは医療分野では最高位の科学雑誌である、Nature Medicineに掲載された研究報告論文でした。内容は、実験的な虚血 – 再灌流によって誘導される急性酸化ストレスによって引き起こされる、脳組織の重大な損傷(脳腫瘍を含む)を、水素が見事に治した事を報告していたのです。
本当にびっくりしたことをよく覚えています。当時、勤務していた会社では結局その開発に手が届かなかったのですが、「水素が治療に使える!」ということは、あっという間に世界中に広まりました。
その後はどうなったの?
と調べてみますと、多くの追加研究がなされたようですが、治療薬としての承認はまだ出ていません。これは、水素分子が悪玉の活性酸素であるヒドロキシルラジカルを直接還元することは明らかにはなっているのですが、実際の身体の中での標的となっている分子の同定や機序についてまだ証拠が出ていないという判断のようです。
この間、「水素水」とうたいながら、溶存水素が検出されず、実際には水素が含まれていない、まがい物の水素水製品が出回ったことも、少なからず開発を負の方向に進めてしまったようです。
ただこれだけは言えます。私の知る開発者の先生は尊敬できる先生でした。いち早く、水素の抗酸化作用に注目し、治療に役立てたいという先生の研究が、実を結び、治療薬として認められる日が近いことを願います。抗酸化作用の機序がわかり、品質を保証された水素水の製品化が進めば、一般の方もさらに利用しやすくなるでしょう。