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遺伝子は人生を通して不変である

  • 2018年4月23日
  • 検査
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体質を遺伝子検査で知る!?

「個人に固有の遺伝子情報」をヘルスケアに利用しようという、「体質遺伝子検査」についてお話ししましょう。

遺伝子検査と言えば、犯罪捜査で証拠品に残された遺伝子情報から犯人を特定する、あるいは遺伝子を調べて親子関係を鑑定するといったものを想像される方は少なくないのではないでしょうか?

最近は、さまざまな研究の成果によって、それぞれの遺伝子の役割や特定の疾患との関係が明らかにされるようになり、それらの知見を利用して、個人の遺伝子情報から体質の傾向や疾患発症のリスクを予測し、健康管理に役立てようという動きが出てきました。近年、通販などでも手軽に受けられるようになった「体質遺伝子検査」は、提出された唾液や粘膜、少量の血液に含まれる微量な細胞中にある遺伝子を取出した後、特殊な試薬と装置で分析して、文献などの研究報告に基づいた独自の解析方法によって体質や病気のリスクを判定し、様々なアドバイスと共に依頼者に提供するというものです。

私たち誰もが持っている遺伝子には、両親から受け継いだ遺伝情報がぎっしりと詰まっています。

その情報量は、例えば文字数に置き換えると広辞苑210冊分になるとも言われるのです。それらの情報を、犯罪や血縁関係の調査だけでなく、健康増進や疾患予防にも利用できるとしたら、遺伝子というものがグッと身近に感じられるというわけですね。そこで、このような遺伝子検査について興味を持たれた方のために、もう少し私なりの解説を加えてみたいと思います。

まず重要な点は、これらの遺伝子検査は、その性質上、ある病気になるリスクや体質の傾向を知るためのものであって、例えばアンジェリーナ・ジョリーに乳房切除を決意させたような、特定の遺伝子による発症リスクが極めて高い疾患(単一遺伝子疾患)について調べるものでは無いということです。ある病気というのも、遺伝的要因と環境要因が合わさって発症する多因子性疾患と呼ばれる大きなものが対象で、生活習慣病や悪性腫瘍など普通にみられる多くの疾患はこれに当たります。アンジェリーナ・ジョリーのような例の「単一遺伝子疾患」は乳がん全体の5%程度にしか過ぎないのです。

また、現在の技術では確かに人ひとりの遺伝子をすべて読み出すことは可能です。しかし、今回とり挙げている、手頃な料金で気軽に受けることのできる遺伝子検査では、あなたの遺伝子をすべて調べてくれる訳ではありません。病気(時には特定疾患)や体質との関連が明らかになっている遺伝子情報の中から、各事業者が選択した特定の領域について調べ、解析してくれるものです。

これらの遺伝子検査では、検査結果は各疾患の発症や体質の各項目について、その傾向を何らかの形で表現されることになります。例えば「◯◯のリスク」が低い・普通・高い、とか、〇〇%など。では、これらの結果をどのように解釈すべきなのでしょうか。

ポイントの一つは、結果は「傾向」であること。

「この結果は診断ではなくて統計的に割り出した傾向ですよ」ということは、検査の説明や注意事項にも書いてある通りです。

統計に基づいているということは、単純な言い方をすると

高リスク=(低リスクグループと比較して)なる人が多い

低リスク=(高リスクグループと比較して)なる人が少ない

ということになります。

「高リスク=なる、低リスク=ならない」が間違いなのはもちろんのこと、

「高リスク=(私は)なり易い、低リスク=(わたしは)なり難い」

とも言い切れないのです。

そこを誤解すると、

「検査でリスクが低いとわかれば、無駄な節制をする必要がなくなるね」

「検査の結果、肥満のリスクが低い体質だった。今まで糖や脂肪の取り過ぎに気を付けていたけれど、太り難いのだから、これからは気にせず好きなように食べよう!」といった、誤った反応をしてしまう可能性があります。

人はとかく自分に都合のいい解釈をしてしまいがちですが、これでは、せっかくの体質検査も健康に逆効果となってしまいます。リスクが高くても低くても、健康のために好ましい行動、避けるべき行動というのは基本的に変わらないのです。

 

もう一つのポイントは、この検査でわかる遺伝的体質というのは、病気の発症や体質を決定するものではなく、それを決める要因のうちの一つに過ぎないということです。

 

病気の発症や体質が現れるには、遺伝的要因に「環境要因」と「時間」を加えた、三つの要素が総合的に働くということがわかっています。

環境要因には、生活環境だけでなく食事、睡眠、運動、喫煙などの生活習慣、ストレスなども含まれます。また「時間」とは、これらの要因の蓄積を指していて、例えば喫煙を長く続けているとそれだけリスクが上がるというようなことです。人生のスタート地点である遺伝子を変えることはできないけれど、環境要因はコントロールできるのです。

「遺伝子検査を受けてみようか」と思うような方はそもそも健康に関心があり、何が健康によくて何が悪いか、という情報にも詳しいことかと思います。

しかし人は弱いもので、「わかってはいても長続きしない」、「わかっているけど止められない」のが常であります。そこで、これらの遺伝子検査の結果をきっかけに、まずは「高リスク」とわかったものからアドバイスに従って健康的な習慣を始めてみてはいかがでしょう。そして「高リスク」が発症に近付いていないか、定期的に健康診断や検診を受けましょう。

このように、傾向を知るだけの検査で終わらせず、健康行動や健康管理を始めるきっかけや継続のモチベーションとして利用できれば、皆さんのヘルスケアに役立てることができるのではないでしょうか。

そして最後にタイトルの「遺伝子は人生を通して不変である」です。

確かに、生まれながらの遺伝子は変わることがありません。しかし、例えば同じ遺伝子検査をしても、前と結果が違う、あるいは測定会社によって結果が違うという事態に遭遇することがあるかもしれません。これは、測定の精度や方法あるいは解析や統計処理方法の違いによって生じているかもしれません。したがって、検査を依頼する会社は、測定技術の品質管理がしっかりと管理できている起業を選択することは重要です。医学や科学技術は日進月歩。遺伝子をきれいに取り出して、それを精度よく安価に解析する技術はこれからも進歩するでしょうが、賢く事前に見極めておくことが大切なのです。

また、統計に基づく評価であることから、元になるデータが増えれば増えるほど、分析結果の統計精度も上がります。そして遺伝子の研究が続く限り、遺伝子の働きや疾患・体質との関連性についても、日々新しい発見や情報の更新が繰り返されるのです。遺伝子自体は不変ですが、そこから導き出される分析結果は、これからもより正確に、詳細にと、ますます進化していくことが予想され、私たちのヘルスケアへの貢献が期待されるのです。

 

 

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